リノベーション済み分譲マンションとは、既存の中古マンションをスケルトン(構造体)の状態まで解体・改修し、新築同様に生まれ変わらせたうえで分譲される物件のことを指します。ここで混同されやすいのが「中古マンション」「リフォーム済みマンション」との違いです。これらは表面的には似た印象を与えますが、実際には大きく異なります。
まず「中古マンション」は、既に他人が居住した経歴のある分譲住宅で、販売時点で改修が加えられていないものを指します。壁紙や設備が経年劣化しているケースも多く、自らリフォームやリノベーションを前提に購入する必要があります。
一方、「リフォーム済みマンション」は、古くなった設備や内装を一部修繕・交換した状態で販売されている物件です。例えば、水回り設備やクロスの張替えなど、生活に支障が出る箇所を部分的に修繕したものが主流です。
対して「リノベーション済み分譲マンション」は、間取りを含む大規模な構造変更を伴い、配管や給排水システムまで刷新されていることが多く、建物の耐久性や快適性に大きく貢献します。見た目がきれいなだけでなく、中身も刷新されているため、住まいとしての安全性・快適性が圧倒的に高いのが特徴です。
以下に、3つの違いを明確にするための比較表を示します。
項目
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中古マンション
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リフォーム済みマンション
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リノベーション済み分譲マンション
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改修内容
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なし(購入者次第)
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部分的修繕
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全面改修(スケルトン)
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見た目の新しさ
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古いことが多い
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表面は新しい
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見た目・中身ともに新築同等
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配管設備の交換
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原則なし
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原則なし
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多くが配管から刷新済み
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間取り変更
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なし
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なし
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あり(可変性高)
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価格帯
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低め
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中程度
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やや高め(性能相応)
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入居までの期間
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長い(改修必要)
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短い(即入居可)
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短い(即入居可)
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このように、単に「中古マンション」といっても、その状態は様々で、購入後にかかる費用や手間も大きく異なります。リノベーション済み分譲マンションは、物件選びや費用面の見通しが立てやすく、時間や手間をかけずに快適な住環境を手に入れたい方にとって有力な選択肢となります。
また、昨今では「おしゃれ」「個性的な住空間」に価値を感じる層が増えており、無機質な新築マンションよりも、リノベーション分譲に魅力を感じる若年層や共働き世帯の購入事例も増加傾向にあります。
中古物件の「安さ」だけに引かれて購入を検討するのではなく、長期的な快適性・維持管理コスト・性能面での安全性を比較検討することが、リノベーション分譲の真価を理解する第一歩です。